first love case1

f:id:otoshikata:20180725224824j:imageこんにちは。ヒラネコさんです。ブログを読んでくださってありがとうございます。人のことばかり好き勝手に言ってきましたが、自分のことも書いていこうと思います。

今回書いたのは私が19才の頃の話です。誰にもこんなにきちんと話したことはないので恥ずかしさもありますが、当時を思い返す良い機会でした。余りにも時が経ってしまったので、ものすごく綺麗な思い出になっていることに気づき、成長を感じています。当時はこんな風に痛くも痒くもなくなるなんて到底思えなかったからです。

 

19才の私は毎日のように泣いていた気がします。もうあれほど振り回されることは無いんだろうなと思うと少し寂しくもあります。

タイトルがfirst loveなので、ウソでしょ?と思うかもしれません。確かに幼稚園のときに仲良しの男の子はいたし、小学校でもカッコイイと思ってる男の子はいました。でも、この人のことをすごく好きだと自覚したこと、それから私の人生は変わったので私の中ではこれが初恋なんです。正に、私の青春がそこにはありました。

 

first love

恋が始まれば初恋のように毎日が輝き、いつでも思いを募らせ、眠る前には大切な人を思ってしまう。今でこそ多少の経験を積んで、ちょっとやそっとのことでは傷もつかない頑丈な大人になったような気がするが、あの頃は眠れない夜も多く、悲しいとか切ないが溢れていた。真っ直ぐに一人の人を追いかけ、振り回されている。それが私でした。19才の時に好きになった人は彼女のいる人だった。彼との出会いは20年近く経った今もまだ鮮明に覚えている。(もうすぐ20年だなんて誰かウソだと言って欲しい。)

 

19才の夏、私は仲の良かったY君の家にMちゃんと遊びに行った。Y君は不在だったけど私とMちゃんはいつものように音楽を聴いたり歌ったり、居座らせてもらうお礼としてカレーを作ったりして過ごしていた。居心地の良いその部屋でゴロゴロしているうちに2人とも寝てしまい、明け方目が覚めると家主のY君とTがタバコを片手にこっちを見ていた。

 

無意識のうちに目が合わないように逸らしていたと思う。Tのことは学校で何回か見かけたことがある程度で話したことはなかった。彼はギタリスト科で、アンサンブルのクラス(ドラム・ギター・ベース・ボーカルでセッションをする授業)で一緒になったことがあったが、その中でも圧倒的なオーラを放つ存在だった。

少なくとも私の目にはそう映っていた。やけに目立つ人だなと思っていたけど、今思えばそれは私がすでに目で追っていたからかもしれない。(とにかく顔がめちゃくちゃにタイプだったの。ほぼチバユウスケ。どタイプなわけ。タバコもラッキーストライク吸ってたから私もラッキーにした。わかりやすく、そんな女。)


寝ぼけていた私はTの視線を必死にかわしながらドキドキしていた。目が合ったらもうダメだ。まずい。と私の中の何かが訴えていたからだ。そこには何もかもが揃っていた。心地よく冷やされた6畳くらいの狭い空間に流れるブランキージェットシティー。タバコの煙とTから放たれる危うい男特有の匂いと筋張った指で弾くシルバーのグレッチ。


まだろくに恋愛経験のなかった私には強すぎる刺激で、Tのような危なっかしい男を無視する術を私は知らなかった。話せば話すほど引き込まれていく。たった1日で私の頭の中はTでいっぱいになっていた。理想をそのまま形にしたような、そんな人だった。Tの薬指にはシルバーのリングが光っていた。

 

その小さな部屋は今思えば青春の象徴とも言える。あの部屋で仲間たちと好きな音楽を聞いて、野望とも言える所謂、未来予想図を語り合っていた。(武道館をいっぱいにするには、どんなアーティストにならなければならないのか、そのために今どうすべきかみんなが熱くなって話していた。)私たちは本気でなんでも出来ると思っていたし、出来ないかもしれないなんて思ってしまったら絶対に自分の中の恐怖には打ち勝てず、音楽に人生を賭けて生きることなどできないことを理解していた。

 

自分を信じてとにかく突き進むしかなかった。同じ場所を志す者同士、お互いに諦めることを許さない気持ちでいたから結束は強まるばかりだった。

 

毎日のように東十条のその家にみんなで溜まって朝まで遊んで、寝ないで学校に行って音楽三昧の日々を送っていた。Tからはたまに連絡が来ていたけど、私からはほとんどしなかった。なんとなく怖かったから。当時20才だったTの指に光るリングはもちろん結婚指輪ではなく、長い付き合いの彼女との約束の印だった。

 

「今どこいる?俺、駅にいるんだけど。」

 

何度もこんな連絡が来るたびに「期待しちゃダメだ。」って自分に言い聞かせて、一方で何か特別なことをどこかで期待しながら会いに行った。

 

女の子の扱いに慣れていたTは簡単に私を2番目の彼女にした。

「みんなには内緒ね。」

私は全然大したことないフリをして笑顔を見せながら、その言葉に傷ついていた。

 

本当によくある展開でなんかもう思い出すと恥ずかしい。その後くっついたり離れたりを23才くらいまで繰り返し、私は後に結婚する相手となる男性に出会ったことでTとの決別を決めた。それから何度かTから連絡は来ていた。そこにはいつも「忘れられない。やり直したい。会いたい。」そんな言葉が並んでいた。正直、当時はまだ好きな気持ちはあったし、迷いもあった。でももう振り回されることに疲れきっていた。(若い〜!!)

 

この話を書いている時に、偶然にもTから久しぶりの連絡があった。何年ぶりだろうか。今年の夏の異常気象についてと私の体調を気遣っている内容だった。あの頃の私だったら動揺していただろうが、今の私はこれっぽっちも揺れることはない。心が全く動かない。全く。

あんなに「これ以上好きな人にこの先出会えるわけないもん(T_T)彼以上の人はいないもん(T_T)」と泣きまくって友達に慰めてもらっていたのに。自分の気持ちがこの世で1番信じられません。

あれから何人か好きな人ができました。紆余曲折ありましたが今は今でとても幸せにやってるので、私はこれからも大丈夫です。今となっては3人の子供の父親である彼に幸せでいてほしいと心から願います。(彼は当時の彼女と無事結婚しました。)

あ〜ほんと大好きだったな。あの顔。